壁量計算と偏心率計算

一般的な木造住宅では、筋交や合板面材による「耐力壁」によって、地震や風に耐えることになります。
この耐力壁の最低限必要な量が建築基準法に定められています。
これを満たしているかどうかチェックするのが、いわゆる【壁量計算】です。

耐力壁がどのくらい必要なの?といっても、もちろん建物の大きさ・形によって変わってきます。そもそも建物に作用する地震力や風圧力が建物によって変わるからです。

【地震力】は建物床面積(厳密には建物重量)に大きく関わります。
自動車で急ブレーキをかけた時に座席に置いてあった荷物がドサーっとなったりする現象は、「慣性力」がはたらくから生じるものですが、重たいものほど慣性力が大きくはたらきます。
地震力も実は慣性力なのです。

【風圧力】は建物側面の面積(見付面積といいます)に大きく関わります。
これは、ダンボールのような板状のものを手に持って風を受けた時、大きい板ほど大きな力を受けることは直感的に分かりやすいと思います。

ということで、建物床面積、見付面積の計算をします。
「壁量計算」では、この面積から簡易的に必要な壁量が求まるのです。

↓面積計算の例
壁量計算用面積

そして耐力壁はバランスよく配置する必要があります。
偏って配置すると建物がねじれて大きく揺れてしまい建物損傷・倒壊につながるからです。
増築工事のように既存と接続しつつ建物が大きくなるような場合は、既存部分の耐力壁の状況も合わせて検討することが大切です。
増築部分だけで耐力壁を検討して、結果建物全体としてバランスが悪くなってしまってはよろしくないですからね。

Y様邸増築工事では、既存部分は瓦、増築部分は板金屋根というように、既存と増築の部分で重量が異なることもあり、【偏心率の計算】によって、より詳細に建物全体の耐力壁のバランスをチェックしました。
既存部分の耐力壁量ももちろんチェック。

偏心率の計算は、簡単に言うと建物の重心(重さの中心)と剛心(硬さの中心)が離れすぎていないかをチェックするものです。
少しだけ高度な計算になってきます。
重心と剛心が離れていると建物がねじれやすくなります。

偏心率計算

Y様邸偏心率OK!

11月5日の上棟を控えて工事進捗中です。

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